医療保険の加入審査のポイントは?
医療保険に加入したいと思っても、それぞれの保険会社が行う審査に合格しなければ加入できません。そこで、目的の医療保険に加入できるよう、審査の手順や注意点について事前に把握しておきましょう。
医療保険は、加入者が互いに保険料を支払ってお金をプールしておき、その中の誰かが病気やケガに見舞われた際に、必要な治療費を受給できるという「相互扶助」の原則の下に成立しています。
つまり、医療保険は保険会社の想定を遙かに上回る病人やケガ人が発生すると、保険システムの破綻を避けられません。
そこで、各保険会社では医療保険を健全に維持して、加入者に必要な保障を提供し続けられるよう、契約前の審査で「リスクが高いと思われる人」の加入を断ろうとします。
医療保険の審査において、加入拒否のポイントとなるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。
世界中の保険会社に共通して重要視されるポイントが、加入を希望する人の健康面に関するリスクです。
そこで保険会社では常に、加入希望者の病歴や将来的な病気の可能性などについて厳正な審査を行います。
仕事の中には、通常よりも病気やケガの可能性が上昇するものがあります。例えば高所作業や危険物取り扱い作業の従事者、スタントマンやレーサー、消防士などは仕事中に事故にあう危険性があり、職業的にリスクが高いと判断されがちです。
保険金詐欺という言葉があるように、病人を装ったり、わざとケガをしたりして、保障を受けようとする人がいるかも知れません。また、第三者が保険金の搾取を狙い、強制的に医療保険へ加入させるような事件もあります。
このように、不正な目的で医療保険を利用されないように、加入前にはモラルリスクが必ず審査されます。
ここでポイントとなるのは、保険会社の担当者によって「この人は危険かも知れない」と疑われた時点で、加入審査に落ちてしまう可能性が上がることです。その為、反社会勢力とのつながりが疑われる人や、刺青(ファッションタトゥー含む)のある人なども、本人の人格とは無関係に加入を拒否されることがあります。
医療保険では原則として、保険会社からの様々な質問が記された「告知書」という書類に、加入希望者が自身の健康状態や職業について回答を記入する形で審査が行われます。
保険会社によって差があるものの、一般的に告知書で問われる項目としては以下のようなものが挙げられます。
リスクを審査する上で仕事の内容は非常に重要なポイントとなるので、職業についての回答は必須です。
年齢が上がるほど健康リスクも高まるだけでなく、太りすぎ・やせすぎなどは生活習慣病のリスクを上げる要因として知られています。
仮に完治していたとしても、直近の受診歴や治療歴、投薬歴などがあれば原則として記載が必要です。
三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)など、保険会社が指定している病気に関して、入院・手術などの経験の有無や、そもそも医師の診察や検査を受けた経験があるかどうかについて回答します。
特定疾患の他にも、例えば治療に7日以上かかった病気やケガについては、記入を求められることが珍しくありません。尚、これは7日連続で通院していなくても、初診日から7日以上経過した後で再診を受けたり、7日分以上の薬が処方されたりした場合も含まれます。
検査の結果、要経過観察・要再検査・要精密検査・要治療などと指摘された場合、その理由や内容、異常数値を記入します。
手足の欠損や機能障害、背骨の変形、視力・聴力・言語・そしゃく機能の障害など、身体に何らかの障害を持つ場合は、それぞれの部位や原因、障害の程度に関する記載が必要です。
女性の場合は、審査時点で現在妊娠中かどうかの確認がなされます。保険内容によって、その妊娠・出産に関する保障が対象外とされたり、出産するまで加入が拒否されたりすることもあります。
医療保険の加入審査で注意すべきポイントとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
保険会社が加入希望者について判断する際の材料は、基本的に告知書だけです。その為、人によっては審査を有利に進めようと、告知書に嘘を書いたり、必要事項を隠したりすることがあります。
しかし、もしもそのような行為が発覚すると、「告知義務違反」として保険契約が解除されたり、一切の保障が受けられなかったりするペナルティが科されます。
また、明らかに悪質な意図を持って告知義務違反を行った場合、保険金詐欺として扱われることも十分にあり得るので、告知書には正直に詳細を書くことが肝要です。
保険会社や人によって違いがあるものの、医療保険の審査期間は平均1~2週間といわれています。その為、保険の見直しや、保険会社の変更を行う場合、保険期間が重複したり、保険期間に穴が開いたりしないように、前の保険を解約するタイミングを確認しておくことが必要です。
健康リスクが高い加入者と、健康な加入者との公平性を維持する為、健康状態に問題がある人に対して、加入を認める代わりに特別な条件が課される場合もあります。
特別条件として代表的なものに、「特定部位不担保」と「割り増し保険料(特別保険料)」の2つがあります。
特定部位不担保とは、あらかじめ決められた体の部位に関する入院・手術に関して、保障範囲から外すという条件です。
割り増し保険料(特別保険料)は文字通り、保険料を通常よりも割り増しで支払うことで保険加入が認められる条件です。
引受緩和型医療保険は、「審査には通りやすいものの保険料が高い保険」といえるでしょう。
審査項目が少なく、持病があっても入れる可能性があるなどメリットもありますが、保険料の高さや該当項目についての審査が厳しいなどデメリットもあるので、十分な検討が不可欠です。
「審査基準は保険会社によって変わる!」
審査の厳しさや基準は保険会社によって異なります。つまり、1つの保険会社で審査に落ちたとしても、別の保険会社では同じような保障内容で医療保険に加入できるかも知れません。お得で安心の保険加入を目指すには諦めないことが肝心です。