医療保険の保障内容を決める上でのポイントは?
医療保険に加入する際は、必要な保障内容と保険料のバランスを考えることが重要です。そこでまずは基礎的な医療保険の保障内容や特約について把握しておきましょう。
医療保険の保障内容は各保険会社によって様々ですが、一般的な保障内容としては入院給付金保障と手術給付金保障が挙げられます。また、それらに加えて様々な保障が特約として用意されていることも少なくありません。
医療保険における主な保障内容の1つが、病気やケガによって入院しなければならなくなった時に受け取れる入院給付金です。
入院給付金は、例えば入院期間中に日額1万円ずつ受け取るような保障であり、その給付額は入院日数に比例することが一般的とされています。ただし、1回の入院日数に上限があったり、保険期間中の通算入院数に上限があったりと、保険料などによって制限が定められることも保障内容を考える上で重要なポイントです。
入院給付金と並んで、医療保険におけるメインの保障内容の1つが手術給付金です。
手術給付金は文字通り、手術を受ける際に受け取る保障であり、原則として給付額は手術の回数に基本の金額をかけることで決められます。また、入院給付金と異なり、基本的には手術回数に上限が設けられることがありません。
先進医療給付金は、健康保険の適用が難しく、また治療費(全額自己負担)も高額になりがちな最先端の医療技術を受ける際に受け取れる給付金です。
実際には、厚生労働大臣が定める「高度で最先端の医療技術を用いた治療等」が先進医療に当たり、具体的な医療内容や費用は治療を受ける医療機関によっても変動します。例えば、陽子線治療や重粒子線治療などは、先進医療の中でも費用が高くなりがちとされている治療です。
また、医療技術は日進月歩であり、現時点では先進医療として考えられている治療でも、将来的には標準的な治療として健康保険が適用される可能性もあるでしょう。その為、先進医療給付金保障においては基本的に、治療の詳細を固定していません。しかし、その一方で極めて高度な技術を要する先進医療では、実施する医療機関が内容ごとに定められており、そこが適正な対象医療機関であるかどうか確認しておくことが肝要です。
参考資料:厚生労働省 先進医療の概要について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/
病気やケガによって入院していた人が、退院してからも治療の為に通院を続ける際に受け取れる保障です。一般的には、入院給付金の給付後の通院が対象となります。
通院に関しては、そもそも入院する原因となった病気・ケガの種類や、後遺症、また家から病院までの距離や個人の事情によっても異なるので、具体的にどのような保障が受けられるのか、契約時にしっかりと確認しておくことが必要です。
「がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中(脳血管疾患)」を総称して「三大疾病」と呼び、日本人の病的死因として重要なものになっています。また、さらに範囲を拡大して、三大疾病に「糖尿病・高血圧性疾患・肝疾患・腎疾患」の4つを加えて「七大生活習慣病」と呼ばれることもあります。
三大疾病や七大生活習慣病では、治療期間が長くなりがちな上、治療費もそれに比例して高くなることが考えられるので、医療保険では市場のニーズに応えて、三大疾病や七大生活習慣病を対象とした保障内容を用意していることも珍しくありません。
放射線治療給付金は、あらかじめ定められている放射線治療を受けた際に受け取ることができる保障です。
放射線治療は、手術が難しい場合のがん治療などで必要とされることも多く、医療保険の保障内容に放射線治療給付金を含めようとする人も少なくありません。
がんと診断された祭に受け取れる「がん診断給付金」や、実際に手術を受けた際に受け取れる「がん手術給付金」も、医療保険の加入において気になるポイントです。
がんに対する保障については、医療保険の特約として保障内容に加えられる場合や、そもそも医療保険の保障内容に組み込まれている場合など、保険会社や医療保険のプランによって異なる為、契約をする時にきちんと確かめておくことが大切です。
女性に特有の病気を対象として、基本の保障内容をさらに強化できるプランを用意している保険会社も増えています。
保険会社によって異なる医療保険ですが、実際に保障内容を決める際は最低限チェックしておかなければならない注意点もあります。
医療保険は、病気やケガの際に、全ての費用をそれでまかなうというよりも、健康保険だけではまかないきれない範囲について保障する為の商品です。
その為、そもそも自己負担割合の低い人では、高額な保険料を支払ってまで保障内容を充実させる必要がないこともあるでしょう。
医療費の自己負担割合と同様に、医療費が高額になった時の自己負担限度額も年齢や収入によって変わるので、自分の状況について最初に把握しておくことが欠かせません。
病気やケガによって働くことが困難になり、その療養期間中の給与支払いを受けられない場合などにおいて、標準月額給与の約3分の2を受給できる「傷病手当金制度」の対象者として、自分が当てはまるかどうか確かめておくことは不可欠です。
例えば、自営業者では病気療養の為に事業を休んだとしても、傷病手当金制度を利用することができないので、入院給付金の日額をあらかじめ高くしたり、それに付随する特約を加えたりしておくなどの対策も必要でしょう。
健康保険組合が運営する社会保険の加入者では、医療費の自己負担額を軽減できる付加給付制度を受けられる可能性もあります。
もしも自分が対象者であれば、その付加給付額の分だけ医療保険の保障内容を抑え、保険料を節約できるかも知れません。
参考資料:全国健康保険協会 傷病手当金について
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307
参考資料:NTT健康保険組合 医療費が高額になるとき
http://www.nttkenpo.jp/member/benefit/expensive_a.html
医療保険の保障内容と保険料のバランスを見極めよう!
医療保険に加入する際は、自分にとって重要な保障内容と、それによって上下する保険料について、最適なバランスを考えることが不可欠です。病気のリスクや年齢、収入状況など、幅広い視点から冷静に必要な保障内容を検討していきましょう。