医療保険に加入する必要性はある?医療保険の基本Q&A

日額or実費?終身or定期?医療保険のキホンを徹底解説

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医療保険に入る必要性は?

医療保険に加入する必要は本当にある…?

民間の医療保険は必要性について議論が分かれることがしばしばありますが、本当のところはどうなのでしょうか?賛否が分かれる理由や加入が必要なケースをまとめてみました。医療保険の加入を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

医療保険の必要性を徹底分析

場合によって必要性は異なる!まずは理由をチェック

医療保険への加入は必要だと言う人と不必要だという人で意見が分かれます。必要な理由と不必要な理由をそれぞれまとめてみました。医療保険にはメリットもデメリットもあり、必要かどうかは加入者の状況によります。自分がどちらに当てはまるか確認してみてください。

医療保険が必要な理由

長期入院でも保障される
大きなケガや病気で長期的な入院が必要になったときは医療保険が力強い味方になってくれます。ちょっとしたケガや病気であれば、治療や入院となってもそこまで負担が大きくなることはありません。貯蓄があれば十分に補える範囲であることも多いです。しかし、入院期間が長くなればなるほど医療費は膨らんでいくもの。貯蓄だけでは医療費を補えなくなったときに、医療保険が必要になってきます。

加入していれば安心できる
医療保険に入る最も大きなメリットは「安心」を得られることです。病気にかかりやすい家系だったり、ケガをしやすい環境にいたりすると、もしものことを心配してしまう人も多いはず。医療保険に加入しておくことで、費用面での心配がなくなりビクビクしながら生活を送ることがなくなります。心配性の人には医療保険の必要性が高いと言えるでしょう。

いざ入院した時の備え
短期間の入院であれば大きな負担はありませんが、いざ入院するとなるとそれなりの費用はかかります。仕事を休むとなると収入が減る不安も。ケガや病気で仕事を休む場合、給料の3分の2を支給してくれる制度がありますが、生活費や住宅ローンなど毎月一定の出費がある人は安心できません。医療保険に入ればあらゆる不安に備えることができます。

日本の社会保障制度への不安を解消
ケガや病気で入院が必要になったとき、現在は国の社会保障制度を利用することができますが、近い将来制度を維持していくのが難しくなる可能性があると言われています。人口減少、高齢化が進む現代、年々社会保障への負担が重くなっていて、国の財源から採算がとれなくなる可能性は濃厚。社会保障に期待するよりも医療保険に加入したほうが安心感が高いと言えるでしょう。

医療保険が不要な理由

貯蓄で医療費が補えることが多い
医療保険は高額な医療費を支払うための備えです。もし入院することになったとき、医療費を払えるほどの貯蓄があれば加入する必要はありません。貯蓄が150万円以上あれば必要ないとも言われています。急性心筋梗塞で倒れ16日間入院した場合の医療費は約190万円。脳出血で40日間入院することになれば270万円ほどの医療費がかかります。しかし、健康保険に加入していれば医療費は3割負担。それぞれ57万円と84万円なので100万円かからずに治療できるのです。

国の制度で十分な
場合が多い

日本の健康保険制度は他国に比べると充実しているため、わざわざ医療保険に加入しなくても十分な保障を受けられるケースがほとんどです。例えば「高額療養制度」を利用すれば、一定額以上の高額な医療費を自己負担した場合に医療費が戻ってくる仕組みになっています。会社の健康保険に加入していれば病気やケガで3日以上欠勤した場合、4日目以降から通常の給料の3分の2が支給される「傷病手当金」もあるので、国の制度を利用すれば多くの場合問題なく医療費を払えると言われています。

医療保険が適用されないケースがある
条件によっては医療保険が適用されないケースがあります。例えば、治療を伴わない検査のみの入院、介護目的の入院、飲酒によるトラブルでの入院、故意にケガをしたときの入院など。入院が必要になればいつでも保障を受けられるわけではないので覚えておきましょう。通院だけの治療だと給付金が支払われないこともあります。医療保険の種類にもよるので、加入する保険はあらかじめ内容を確認しておきましょう。適用されないケースで入院することが多いときは、加入は不必要と言えるでしょう。

医療保険不要論の根拠とは?

日本には公的医療保険がある

民間保険会社の医療保険に加入せずとも、日本では公的医療保険があり、健康保険証を提示することで基本的な治療費であれば1~3割の負担だけで済むということが、医療保険不要論の根拠の1つとしてしばしば挙げられます。

高額療養費制度

病気やケガの治療が長引き、1ヶ月間(月初めから月末)に自己負担する治療費が一定額に達した場合、それより上の費用については自己負担しなくて済むという制度が高額療養費制度です。

高額療養費制度における「一定額(上限額)」は、原則として公的医療保険加入者の月収(標準報酬月額)や年齢によって決まり、全体では5段階に分けられています。また、収入が多ければ多いほど上限額も上がってしまうのが高額療養費制度の基本ルールですが、同じ月内であれば複数の医療機関で支払った分を合算できます。

ただし、月をまたいで発生した治療費や先進医療にかかる費用、入院時の食費や差額ベッド代、レセプト1枚当たりの自己負担額が21,000円以下である場合(69歳以下の人)などについては、自己負担額として合算できない為、注意しなければなりません。

傷病手当金制度

傷病手当金制度は、健康保険加入者が4日間以上連続して仕事を休んだ場合、支給申請を行うことで、休業4日目から標準報酬日額(1日当たりの収入額)の3分の2が、最大1年6ヶ月間支給されるという制度です。

傷病手当金を受け取るには、業務外の病気やケガで療養中である、病気と見なされない治療(美容整形など)を除く、休業期間中の給与支払いがない、など幾つかの条件があります。また、休業中にも労災保険や給与などによる収入がある場合は、傷病手当金で支払われるべき金額から、その収入額を差し引いた分が支給額となります。

尚、自営業者など国民健康保険の加入者の場合、組合や自治体によって傷病手当金制度がないこともあるので注意が必要です。

付加給付金制度

従業員規模が大きい企業などでは、あらかじめ1ヶ月間の治療費の自己負担限度額を定めておき、それを超えた分の治療費について一定額を払い戻す付加給付金制度を設けているところも少なくありません。

付加給付金制度は、病気やケガの治療にかかる自己負担額をさらに軽減させられる制度として活用されていますが、自営業者などの国民健康保険加入者では付加給付金制度を受けられないので気をつけましょう。

医療費控除

確定申告を行い、適正な範囲で医療費(交通費、装具費用などを含む)を申告すれば、所得控除を受けて税金が安くなる場合もあります。ただし、どこまでの範囲が控除対象として認められるかについては、最寄りの税務署や国税局のサイトなどでしっかり確認しておかなければなりません。

医療保険に加入するより保険料を貯蓄しておくべき論

一般的な病気やケガであれば、治療費に必要な金額はある程度までに抑えられることが大半です。その為、医療保険に加入して保険料を払い続けるより、その分を貯蓄に回しておいて、病気やケガの時にだけその貯蓄分から治療費を支払う方がお得になる人もいます。

しかし、本当にお得になるかどうかは、加入している公的医療保険の種類や、受けられる制度の内容、病気やケガのリスクや、その治療にかかる費用など、様々な条件を冷静に考慮することが不可欠です。

一般的に役に立たないといわれている理由

契約者に嬉しくない内容が多い!主な4つの理由をチェック

医療保険が役に立たないと言われている一般的な理由は以下の4つです。保険によって内容が異なるので一概には言えませんが、後悔しないためにも理由を把握したうえで加入する保険を検討するのが得策です。

時代にそぐわない保障内容

一般的な医療保険の保障内容は「入院1日につき5,000円」や「入院中の手術を5万円保障」など、入院したかどうかが大きく関わるものがほとんどです。しかし、政府は医療費を抑制するために、通院治療や在宅療養の強化、入院日数の短縮化を進めている状況。「入院してなんぼの医療保険なのに早期退院を進められ、思ったほど給付金を受け取れなかった」というケースが増えているのです。

厄介な「1度の入院」の定義

医療保険には1度の入院につき最大何日まで医療費を保障するかが決められています。「1入院70日」の保険だと入院71日目からは保障が受けられません。ここまでは一般的なことなのですが、問題は1入院の定義の仕方。だいたいの医療保険では1入院は「同じ病気が治るまでの入院」と定義されています。つまり1度退院したものの病気が再発して再入院した場合も、1度目の入院としてカウントされてしまう場合があるのです。退院してから180日以上経過していれば別々の入院として扱われる決まりになっていますが、すぐに再発してしまうケースが多いので契約者に優しくない仕組みになっています。

ハードルが高い特約

特約とは主契約している保険についてくるオプションのようなもの。ある条件を満たす場合に、通常では保障しない部分まで保障を受けられるようになっています。しかし、決められた条件を満たすことが難しく、いざという時に役に立たない特約しかついていないケースが多いというのです。がん・急性心筋梗塞・脳卒中など三大疾病を保障してくれる特約も、ほとんど寝たきりのような状態が60日間継続している場合にしか適用されないことが多く、役に立たないと言われています。

高額療養制度の存在

高額療養制度とは国が規定する上限額を超える医療費がかかった場合、その超過分を国が負担してくれる制度です。上限額は年齢や所得によって異なりますが、70歳未満の一般所得者(年収370〜770万円)だと1ヶ月の上限額は9万円。国の健康保険制度が頼もしすぎるのが、民間の医療保険は役に立たないと言えれている理由です。

結局どんな人に必要なのか

4パターンのどれかに当てはまったら医療保険がおすすめ!

医療保険は加入したほうがメリットの多い場合と逆にデメリットが発生してしまう場合、どちらも考えられます。医療保険加入がおすすめな4つのケースを考えてみました。当てはまる人は医療保険に加入することで得られるメリットが多いかもしれません。加入を迷っている人は参考にしてみてください。

貯蓄があまりできていない

日本は保障制度が充実しているので医療保険に加入しなくても医療費の負担が軽減される場合が多いです。しかし、だからといって入院費が一切かからないわけではありません。医療保険が必要ないと言われているのはあくまで十分な貯蓄があり医療費の負担をある程度カバーできる人のみ。貯蓄が少なければもしものときに対応できないので医療保険への加入が必要でしょう。貯蓄が苦手な人も毎月一定額を医療保険費として支払えば強制的にお金を貯めることができます。

病気・けがの不安がある

大きな病気やケガで入院するリスクが高い人は医療保険に加入しておいたほうが安心です。病気の中には遺伝的要素が強いものもあるので、家系に遺伝性の病気を発症している人が多い場合は入院のリスクが高いと言えます。親戚に糖尿病・乳がん・心筋梗塞などを発症している人はいませんか?また、ケガをしやすい職場環境にあったり危険な趣味を持っている人も注意が必要です。入院の頻度や期間が多い可能性があるなら、医療保険へ加入しておくのをおすすめします。

稼ぎ頭で収入が止まると困る人

病気で入院している間も会社が健康保険に入っていれば収入はゼロにはなりません。しかし、働いているときと同じだけの給料はもらえないので要注意。自分の収入で家計を支えていて、入院することで毎月の家賃やローン、生活費の支払いが難しくなる可能性があるなら医療保険に入っておくべきでしょう。医療保険なら国の医療保障ではカバーしてくれない食事療養費や技術代まで保障してくれるので、より収入減少のリスクを抑えてくれます。

自営業の人
(国民健康保険の加入者)

会社に勤務している場合、会社が健康保険に加入していればある程度の収入が保障されますが、自営業の場合は加入できる保険が変わるので受けられる保障が少なくなってしまいます。給料の3分の2が保障される会社員と違って、収入はほとんどゼロになってしまうと考えたほうが良いでしょう。貯蓄が十分にあれば心配ないかもしれませんが、収入がなくなると困るという人は医療保険に加入しておく必要があると言えます。

まとめ

必要性は状況によって変わる!自分に必要な保険を見極めよう

医療保険に入ることで得られるメリットはもちろんありますが、状況によってはデメリットのほうが多くなってしまうこともあります。現状は国の保障制度が豊富なので貯蓄があれば必要性は低いですが、将来的に体制が変われば必要性に変化がでる可能性も。自分の状況や入院のリスクを考えたうえで、必要な保障が受けられる最適な保険を見極めることが大切だと言えます。