独身者にぴったりの医療保険はどういうもの?
医療保険を選ぶ際は、そもそも自分にとってどのような保障内容がベストなのか考えなければなりません。 既婚者と独身者では病気やケガの際の事情も異なります。独身者にとって重要な保障内容や医療保険のポイントを見ていきましょう。
独身者といっても生活スタイルは人によって様々です。実際、結婚経験がある独身者がいれば、緊急時に親や兄弟、親しい友人らのサポートを受けられる独身者もいるでしょう。
しかし、最終的に自分に対する責任を自分で負わなければならないという点は、一般的な独身者に共通することかも知れません。
男性であれ女性であれ、独身者が大きな病気やケガに直面した時、気になるのはお金です。
普段から十分な収入を得ていて、貯蓄額もかなりあるという独身者であれば、万が一の際でもお金の心配をせずに済むかも知れません。ですが、現実は多くの独身者にとって、「病気やケガで働けないのに治療にお金が必要」という状況は、生活を続ける上で経済的にだけではなく非常に大きな精神的負担にもなります。
一人暮らしの経験がある独身者にとっては常識でしょうが、日本では特に贅沢をせずとも、日常的に色々と費用がかかります。家賃、電気光熱費、水道代だけでなく、電話代や地方税、自動車を所有している人であれば駐車場代や自動車税などの維持費も無視できません。
また、病気やケガに襲われた時、その治療にも様々なお金がかかります。病院に支払う診察費や検査費だけでなく、病院へ通う為に交通費がかかる場合もあるでしょうし、入院となれば病院生活に必要なものを買いそろえる為の費用も必要です。
実際、例えば公益財団法人生命保険文化センターの「平成28年度『生活保障に関する調査』」によれば、「入院によって自己負担した1日当たりの費用」の平均は19,800円となっています。つまり、入院するとそれだけで1日に2万円近いお金が消えていくということです。
また、退院後も通院や療養の為に生活スタイルを変えるとすれば、さらに何かとお金がかかるでしょう。自己負担限度額を超えた分を高額療養費制度で請求するとしても、先に病院へ立て替えて支払うことになるので、経済的な余裕はあればあるほど安心です。
病気やケガは、ある程度はリスクを予想できるものもあれば、ある日突然に発生するものもあり、しかも実際の症状や程度、療養期間は当事者になってみなければ分かりません。
それに対して、月々の収入から少しずつ貯蓄へ回しているような場合、貯蓄額が思わぬ病気やケガのリスクと見合う額になるまでは時間がかかります。
医療保険は、すぐにでも始められるリスク管理の手段です。
病気やケガに絶対にならないと断言しているような人にとって、医療保険料は無駄な出費に感じられることもあるでしょう。
しかし、未来を完全に予知できない人間にとって、「万が一の際はどうしよう」という不安はストレスとなり、時にはそれ自体が病気の要因にもなり得ます。だからこそ、緊急時の安全策として働く医療保険の恩恵は、いざとなった時の保障や給付金だけでなく、万一に備えた安心感ともいえるのです。
医療保険には大きく分けて、定期型と終身型の2つがあります。
定期型の医療保険は、一度の契約によって“期間限定”で保障を受けられ、期間満了後は保険料などが改めて見直されることが特徴です。定期型医療保険の契約期間は保険会社やプランによって異なりますが、一般的には10年契約などが多いといわれています。
定期型の主なメリットは「時代や生活状況に合わせた保障内容を定期的に見直せる」ということと、何より「最初に加入した契約期間中の保険料の安さ」でしょう。
基本的に、病気やケガのリスクは年齢に比例して上昇します。つまり、加入者が若い間は保険会社にとってもリスクの低い契約者となるので、早い段階で定期型に加入すれば、保険料も比較的安く抑えられるようになります。
なお、契約期間が終了すると最初の契約は消滅しますが、実際には契約が自動更新されて、その後も保障を受けられることが大半です。ただし、その際は保険料が上昇するので、初めて加入してからの期間が長くなれば長くなるほど、支払う保険料の総額も高くなるという点がデメリットといえます。
また、多くの定期型医療保険では、70歳や80歳を境目として、契約更新を行うことが難しくなります。その為、本当に医療保険が必要になった時に、定期型では保障が受けられないかも知れないというリスクもデメリットでしょう。
最初に加入した契約・保障内容が、解約しない限りはそのまま死ぬまで維持されるという保険が終身型です。その為、保険料が値上がりすることもなく、70歳、80歳を超えても保障を受け続けられます。この安定性が、終身型の最大のメリットです。
一方で、終身型は基本的に契約内容の見直しができません。だからこそ、終身型では加入時に後々の状況も十分に考慮して保障内容を決めることが不可欠です。
尚、終身型の医療保険はさらに、ずっと保険料を支払い続けていくタイプと、60歳や70歳などを区切りとして、そこまでに必要な保険料を全て払い込んでしまうという、払い込み完了時期を指定するタイプの2つがあります。払い込みを事前に完了させる場合、月々の保険料は少し割高になりますが、高齢になってからは余計な支出が抑えられるというメリットもあります。
一般的に医療保険では終身型が主流といわれますが、まだ若く、あるいは後々に結婚や出産、転職で生活が大きく変わる可能性がある独身者には、保険料を安く抑えられる定期型も人気です。
その為、20代や30代の独身者であれば、定期型の加入を検討してみても良いかも知れません。一方、40代、50代以上の独身者であれば、さらに高齢になった時のことを考えて、終身型を選ぶというのも賢い選択です。
「生活スタイルや将来設計に合った保険を!」
独身者にとって最適な医療保険は、保険料と収入のバランスだけでなく、年齢や性別、将来的な展望なども踏まえて選ぶことが欠かせません。そもそもどうして医療保険に加入したいのか、目的意識をしっかり持ち、将来設計に組み込んでいきましょう。