タトゥーが医療保険の加入審査に影響する理由とは?
近年はファッション感覚でタトゥー(刺青)を入れる人も増えていますが、タトゥーがあることによって、医療保険の加入を断られてしまうリスクがあります。ここでは、どうしてタトゥーが医療保険の加入審査に影響するのか解説します。
医療保険の加入を断られるのは『リスク』が原因!
医療保険の加入審査において、保険の担当者が気にするのは「リスク」です。
そしてそれは、現在の肉体的な健康に関するリスクだけでなく、加入希望者の素性に関するリスク、将来的な病気のリスクなど、様々な種類があります。
つまり、タトゥーがあることで医療保険の加入を断られるとすれば、それは担当者にリスクがあるという印象を与えてしまうからといえるでしょう。
タトゥー(刺青)は必ずしも過去のように暴力団や犯罪者の象徴としてでなく、ファッションとして受け入れられつつあるのは確かです。
しかし、今もタトゥーに反社会勢力を連想する人も多く、また実際に反社会勢力と関わりのある人の中には、タトゥーを入れている人も少なくないといわれています。
タトゥーを入れている人の中に反社会勢力と関わりのある人が多いのではなく、反社会勢力の中にタトゥーを入れている人が多いということは、冷静に理解しておくべきです。
ですが、問題はタトゥーの持つイメージです。
そもそも保険は、相互扶助の精神で維持されるものであり、悪意を持った人間が保険を利用して不正に保険金を得ようとすると、保険システム自体が破綻してしまう恐れがあります。
だからこそ、保険システムの番人ともいえる担当者が、リスク管理の1つとして、とりあえずタトゥーのある人を敬遠しておこうと考えてしまうことは必然ともいえます。
特に広範囲にタトゥーが入っている人や、和彫りを入れている人では、本人の素性や人柄に関係なく、イメージで判断されてしまうリスクも高まるでしょう。
例えば献血をしようとした際、タトゥーを入れている人は、少なくとも半年間は献血を断られ、その後も医師の判断で断られてしまうことがあります。それは、インクを付けた針を肌に刺して、皮下組織をインクで染めるというタトゥーの性質上、不衛生な環境下や汚染された道具を用いてタトゥーを入れられて、何らかの細菌やウィルスに感染している可能性が0でないからです。
もちろん、タトゥーを入れている人の全員が、感染症に冒されているとはいえません。しかし、病気のリスクを考えた場合、タトゥーを入れていない人よりも、タトゥーを入れている人の方が、感染症リスクが高いと考えられることは自然です。
タトゥーを入れている人において、将来的に皮膚がんなどの発症リスクが高まるという報告があります。
がんは遺伝的な要素の強い病気といわれていますが、生活習慣やライフスタイルによってもたらされるリスク要因も少なくなく、将来的な病気のリスクについて考えた場合、保険の担当者がタトゥーのある人を避けてしまうこともあるでしょう。
タトゥーがあっても、担当者の判断によって、医療保険への加入が認められることも珍しくありません。この事実は必ず覚えておきましょう。
医療保険への加入にあたっては、加入希望者の方から保険会社へ、病歴や持病の有無、健康状態などについて告知する義務があり、その為の書類(告知書)を作成したり、担当者からの質問に答えたりする必要があります。
この際、もしも虚偽の告知をしていたり、告知するべき内容について黙っていたりすれば、後々にそれが判明した際、告知義務違反があったとして、保険契約そのものが失効してしまうこともあるでしょう。保険契約が失効してしまえば、保障が受けられなくなり、それまで支払ってきた保険料も無駄になってしまいます。
現実問題、タトゥーに関する質問は、担当者からほぼ確実に聞かれることの1つです。
この時、もしも加入審査で不利になりたくないからと、タトゥーの存在を隠しても、将来的に大きな病気やケガで手術を受けることになった際、そこでタトゥーがバレて契約を失効されてしまえば、さらに厄介な事態におちいってしまいます。
だからこそ、加入時の告知書や質問に対しては、全て正直かつ適切に応じることが必須です。
医療保険の加入審査の方法や、判断基準は、保険会社や担当者によって異なります。その為、最初の保険会社では審査に通らなくても、別の保険会社では加入審査にパスできることもあり、諦めずに挑戦してみることが肝要です。
引受基準(条件)緩和型医療保険とは、持病のある人や薬の服用歴がある人など、健康に関するリスクがあって、通常は医療保険に入りにくい人であっても、加入が認められる可能性がある医療保険です。
仮に、タトゥーを入れている人で、すでに医療保険への加入を断られてしまった人であっても、引受基準緩和型医療保険であれば、すんなり加入できるかも知れません。
ただし、引受基準緩和型医療保険は通常の医療保険と比較すると、保険料が高いといったデメリットも存在します。
美容クリニックでは、レーザー治療などでタトゥーを消してしまえる場合があります。
広範囲のタトゥーや、デザイン・タトゥーを入れている部位によって難しいこともありますが、クリニックによっては無料相談を行っているところもあるので、専門医に相談してみてもいいでしょう。
ただし、治療を受けてから5年間は、その事実を告知する義務があります。
保険加入時にはタトゥーを入れていなくても、その後にタトゥーを入れたくなることも考えられます。
その場合、加入している医療保険の担当者に相談したり、報告したりすることが大切です。
なぜなら、契約中にタトゥーを入れ、それを担当者に黙っていて、その後にタトゥーがあると発覚した時、担当者から「本当は、加入前からタトゥーを入れていたんじゃないか?」と誤解されてしまうことがあるからです。
最悪の場合、告知義務違反として契約を打ち切られてしまう恐れもあるので、気をつけましょう。
タトゥーにはリスクがあることを理解しよう!
ファッションとしてタトゥーを楽しむ権利は、大人であれば誰にでもありますが、医療保険の加入を考える際には、タトゥーによってリスクが高まることも覚えておかなければいけません。
タトゥーを入れる際は、自分の将来やライフスタイルについてじっくり考えて、後悔しない選択をするようにしてください。