女性向け医療保険は何が違うの?

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女性向け保険って加入した方がいいの?

女性特有の病気にかかった時に利用できる保険をくわしく紹介!

男女共通で発症する可能性のあるがんや生活習慣病などが多い中、女性だけがリスクを抱えている特有の病気もあります。さらに、女性は20代後半から妊娠・出産にまつわる症状や病気が増え、同年代の男性よりも入院リスクが高まるのです。そんな中、一般的な医療保険とあわせて女性特有の病気を手厚く保証してくれる保険が誕生しました。それが「女性向け保険」です。

女性向け保険とは?

そもそも女性向け保険の違いって?

多くの人が加入している医療保険に、女性特有の乳がんや子宮頸がん、子宮筋腫などの病気を手厚く保証してくれるのが「女性向け保険」です。女性特有の病気で入院してしまった時に、通常の保険金に上乗せした給付金を支払ってもらえます。この手厚い保証の仕組みが「女性疾病特約」です。医療保険に女性疾病特約をつけたものが、いわゆる「女性向け保険」と呼ばれています。男女関係なく患う可能性のある病気やけがを保証しながらも、女性特有の病気までしっかりとフォローしてくれるのが見逃せないポイントです。

女性向け保険の選び方をチェック

医療保険と女性向け保険に大きな違いはとくにないため、女性向け保険を選ぶ際は普通に医療保険を選ぶ感覚で構いません。ただ、保障内容については保険会社ごとに異なるため、対応してくれる範囲や給付金の違いに着目すると良いでしょう。中には、退院後の通院まで保障してくれたり、祝い金といったボーナス給付をしてくれたりする会社もあります。保険選びで失敗すると「8日以上の入院でないと保障の対象にならないと言われた」「ある年齢から保険料が急に跳ね上がった」などの事態に陥ることも。余計な出費がかさんでしまっては、本末転倒です。

失敗しないためにも、下記の最低限チェックしておくべき内容を踏まえて、適切な保険を選んでくださいね。

  • ・対象年齢、契約期間
  • ・月々に発生する保険料
  • ・保障してくれる病気の範囲
  • ・保険のタイプ(医療型、貯蓄型、死亡保障型など)
  • ・日額の入院給付金、支払限度日数

女性特有と呼ばれる病気について

くわしい内容は保険会社によって異なりますが、女性が罹患(りかん)する可能性のあるがんや特定の疾病を「女性特有」の範囲として定めているところが多いようです。

たとえば、乳がん・子宮がん・子宮筋腫・甲状腺腫・卵巣機能障害・妊娠や出産にまつわる合併症・帝王切開などが、女性疾病特約に含まれています。特約をつけなければ女性特有の病気を保障しない、というわけではありません。これらの病気の際、給付金を上乗せするかどうかが「女性疾病特約」なので、つけなくても入院費は医療保険内できちんと保障されます。

女性特有のがんについて

2014年の厚生労働省人口動態調査によると、同年にがんで亡くなった女性は全国統計14万9,706人でした。

このうち、乳がんは5番目に多く、亡くなった方は8.8%。子宮がんで亡くなった方は約4%で7番目に多いというデータが出ています。

また、「何人がその病気にかかったか」を表す罹患数を「公益財団法人がん研究振興財団のがんの統計’14」から見てみると、2010年における女性のがん罹患者は33万7,188人でした。このうち、乳がんは6万8,071人、子宮がんは2万2,530人。他のがんと比べると死亡率は低いものの、女性の約5人に1人が発症するリスクがある病気だとわかります。

また、同データの年齢別・部位別罹患数を見ると、乳がん・乳がんともに15〜39歳にかけて患者が増える傾向に。女性特有のがんは高齢者だけでなく、若いころから病気リスクが発生するという点から、早めの対策が必要とされています。

女性向け保険に加入する必要はあるの?

通常の医療保険に加入しているにしろそうでないにしろ、「女性向け保険に加入する必要性やタイミングがわからない」という方がいらっしゃるはず。自分に女性向け保険が必要かどうか見極めるため、世の中の女性が加入を検討するタイミングをまとめてみました。

加入を考えはじめるのは就職・結婚する時期

公的な医療保険と違って、女性向け保険は民間の医療保険です。大人になり、人生の節目を迎える頃にわざわざ加入しようと考える方が多いそう。たとえば、自分でお金を管理するようになる就職後や新しい家族としてスタートする結婚などが、人生の節目にあたります。中でも、伴侶を迎えて妊娠や出産を視野に入れはじめる「結婚」は、自分に何かあっても家族の負担にならないように…という考えを持って加入される方もたくさんいるようです。

また、結婚のタイミングで女性向け保険に加入する方に知っておいてほしいのが、妊娠後の加入は制限される可能性があること。妊娠初期であれば加入できるところもあるようですが、出産のリスクが露見しだす7ヶ月目以降は入れないと考えたほうが良いでしょう。

出産時に帝王切開といった「異常分娩」が認められた場合、女性向け保険なら保険対象内として保証してくれます。そのため、結婚してから加入するよりも結婚前に加入しておくのがおすすめです。

異常分娩に備えて加入

女性特有のリスクは乳がん・子宮頸がんなどの病気だけではなく、出産でも生じます。

厚生労働省が発表した2013年「医療施設の動向」によると、2011年には帝王切開で出産する人は24.1%。約4人に1人の割合ということが確認できます。

出産は病気ではないため、多くの場合は保険対象外です。しかし、帝王切開もしくは吸引分娩で出産した場合、流産・早産による入院は「異常分娩」と認められ、保険の対象に。この他、重いつわりも該当します。

医療保険内でもカバー可能ですが、母体の負担や入院期間を考慮した女性向け保険に加入することで、十分な手当てを受けることができるのです。妊娠・出産にまつわるリスクに対し、安心して備えられるのが女性向け保険と言えます。

女性向け保険にはどんな種類があるの?

女性向け保険に加入する際、気になってくるのがどんな種類の保険が用意されているのかということ。医療保障を重視した医療型や貯蓄型、死亡保障付きの死亡保障型など、大きく分けて3種類の保険があります。

医療型の女性向け保険

病気やけがによる入院や通院に対して、入院費や手術費を保証してくれる医療型。保険に女性特有の乳がんや子宮頸がんなどへの手厚い保障内容を加えたものが、医療型の女性向け保険に位置づけられます。通常の入院給付金が1日1万円とした場合、1日あたり1.5万〜2万円を保障してもらえるのが特徴。

いろんながんや特定疾患を含めるかどうかといった保険の範囲や、先進医療(特定の医療機関で研究・開発された医療技術)を受けた時の一時金の支給など、保険会社によってオプションの選択肢はさまざまです。

貯蓄型の女性向け保険

一定期間中、加入し続けていればこれまで払ってきた保険料が戻ってくるのが貯蓄型。入院がなければ定期的に「健康祝い金」として保険料を返す保険会社もあります。定められている期間内に病気やけがで入院せず、健康でいられれば契約満了時にお金が戻ってくるので、貯金感覚で入る方が多いようです。

ただし、保険料が他の保険と比べて高額なので要注意。短い払い込み期間で解約すると、戻ってくるお金も少なくなるので、勢いに任せて加入せず、しっかり検討することをおすすめします。

死亡保障型の女性向け保険

女性特有の病気に対する保障と、自分の身に何か起こった時に家族にお金を遺すための死亡保障がセットになっているのが死亡保障型。死亡時にもらえる金額は数百万円の保険が多いようですが、万が一の際に大きなお金が入ってくる分、保険料は高い傾向にあります。

両親や配偶者、子どもなど、とくにお金を遺す必要のある相手がいなければ受け取る方がいないので、加入する必要はありません。

女性向け保険加入前の注意点

月々の保険料が高くなることがある

女性向け保険は基本的に「医療保険+女性疾病特約」のセットになっており、医療保険の本契約のみと比べると毎月の保険料が高くなっています。

保険料を抑えて最低限の保障で済ませたい人よりも、

  • ・身内に女性特有の病気を患った人が多い
  • ・今後の出産や育児に備えておきたい

といった、プラスアルファの保障を望んでいる方に向き。

中には、女性特有の病気のみカバーする女性向け保険も存在しており、女性疾病特約のように別の保険と合わせて加入し、足りない保障部分を補うという方法も取れることも可能です。いずれにせよ、保険料は高くなってしまうことが多いので、保障内容をしっかりチェックして自分に合った保険を選ぶよう心がけましょう。

他の保険との重複加入に気をつける

就職時に基本的な病気やけがに備えて医療保険に加入し、結婚をきっかけに女性向け保険へ加入する方もいらっしゃるはず。その場合だと、どちらにも「医療保険」がついてしまい、重複してしまうことがあります。

重複した部分については、双方からフォローを受けられることで内容が充実するため、デメリットばかりではありません。しかし、当然ながら保険料の負担は増えてしまいます。支払っている保険料が苦しくなるようであれば、契約を続行したほうが良いのかどうか、定期的に見直しておくことが大切です。

妊娠中は加入を断られることもある

妊娠中に保険加入を考える際、保険会社によって加入できない場合があるので注意が必要です。各会社によって基準に多少の違いはあるものの、妊娠7ヶ月目以降は加入不可と設定している会社がほとんど。妊娠時〜妊娠7ヶ月目までは加入可能であっても、一部保障が効かない条件つきの加入になったり、通常加入では保障対象となる帝王切開・切迫早産・吸引分娩などの異常分娩が対象から外されたりすることも。妊娠が発覚した初期段階であれば通常の条件で加入できる場合があるため、妊娠直後に加入しようと考えるのも悪くはありません。しかし、保障内容が制限される可能性を考えると、なるべく妊娠前に加入しておくのがベターです。

生命保険と女性向け保険(医療保険)

女性向けの保険は、いわゆる医療保険に女性特有の疾病特約を付けたものであり、入院給付金や手術一時金などが手厚くなっています。死亡保険金がゼロのものも多く、生存中に活躍するタイプと言えます。

それに対して、昔からある生命保険は、主に加入した人が死亡した場合や高度障害状態になった時に、指定した受取人に対して支払われる保険金であり、自分のためというより家族のために加入する保険と言えます。

もちろん、生命保険に医療保険を組み合わせて、女性特有の疾病特約やがん特約を付けて、生きている間も死亡した時も保証されるような保険に加入することも可能です。その場合は、生存中と死亡時の両方を保証することになるので、保険料は片方だけより割高になります。

生命保険と女性向け保険(医療保険)の違い

生命保険は一般的には「死亡保険」と呼ばれており、「生命保険会社」の商品です。それに対して医療保険は、「生命保険会社」、「損害保険会社」どちらでも扱える商品です。両者の明確な違いはこの点であり、それぞれにオプションを付けていくと、保険の内容にそれほど違いはなくなります。ただ、やはり目的としては、生命保険は死亡時の保険、医療保険は生きている時のための保険という点が大きく異なります。

生命保険の保険料はいくらくらい?

生命保険の保険料は、基本的に死亡時に支給される保険金額と保険期間によって決まります。さらに医療保証を追加すると、保険料はあっという間に1万円を超えてしまいます。逆に、医療保険に数百万円程度の死亡保険金を付けたものなら、保険料は1万円以下に抑えられます。

万が一の時に家族に大きなお金を残せるのは安心ですが、それよりも、健康で長生きできるように医療保険が手厚いものを選んだほうが、ご自身やご家族にとっても安心できるのではないでしょうか。

生命保険と医療保険の死亡時の保険金の違い

生命保険は、自分が死亡した時などに家族にお金を残してその後の生活を保障したいという目的があるので、死亡時の保険金は数千万円と非常に高額になります。

医療保険にも死亡保険金が支給されるタイプがありますが、その金額は300万円ほどで、葬儀代や一時的な生活の保障程度にしかなりません。医療保険の死亡保険金はあくまでオプションという扱いで、長期的に生活を保障する生命保険とは目的が異なっています。

子どもにお金を残したい場合は死亡保険金があると安心

独身の場合でも、親や兄弟に少しでもお金を残したいと思えば、死亡保険金のあるものを選ぶメリットはあります。しかし、その分毎月の保険料が割高になってしまうようなら、それほど重要視しなくてもいいでしょう。

既婚でお子さんがいる場合は、なるべくお金を残してあげたいと思いますが、配偶者が収入を支えている場合はそれほど心配しなくてもいいでしょう。ただ、シングルマザーなどで、万が一自分に何かあった時のことが心配な場合には、生命保険に入っていた方が安心と言えます。

死亡後の生活は遺族年金でまかなえることも

自分が死亡した後に家族の収入や生活が心配な場合、遺族年金によってもその生活を支えることができます。遺族年金は、厚生年金や国民年金に加入していた人が亡くなった場合に、こどもや配偶者が受け取れる年金です。

こどもの有無やその人数などによって受け取れる金額に差はありますが、こどもが18歳になるまでは月額10万円前後が配偶者に支給されますので、負担を軽くすることができるでしょう。もし、生命保険の保険料が割高で毎月無理をして支払うようなら、その分を少しでも貯蓄に回して、もしもの時は遺族年金を頼りにしたほうが安定するかもしれません。

まとめ

大腸がんや胃がんだけでなく、乳がんといった特有の病気の発症リスクを抱えている女性。妊娠・出産時は異常分娩になる可能性も0%ではありません。ナーバスになってしまう入院時に「できるだけ個室がいい」という希望が叶えられるとしたら、手厚く保証してくれる医療保険から、個室に入れるだけの給付金を支払ってもらうに限ります。もしもの時に備えて、女性向け保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか?