先進医療にかかる費用

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先進医療とは?その内容やかかる費用について確認

先進医療とは?

先進医療にはさまざまな種類があり身近な存在

先進医療というと、最先端の医療技術というイメージがあり、身近に感じられないかもしれません。ですが、外科療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法など、さまざまな分野で先進医療とされている治療法があります。さらに、治療や手術だけが先進医療に指定されている訳ではなく、検査や診断でも先進医療の対象となっているものはあります。

この様に種類豊富な先進医療は、受ける機会がないとも限りません。そこでこちらでは、先進医療の種類や費用について、詳しくご紹介していきます。

先進医療の費用は?

意外と高額にならないケースも

費用は受ける先進医療の種類によって様々です。先進医療と言えば「高額になる」というイメージが強いかもしれません。もちろん、数百万単位の金額になる先進医療もありますが、実は数千円単位で受けられる内容のものもあります。

平成27年〜28年にかけて行われた先進医療実績を見てみると、最も高額な治療となったもので約480万円。それに対して、最も低額な診療内容は約3,600円です。このように、先進医療にかかる費用はかなりの幅があり、診療を受けられる医療期間の数や、内容の特殊性についても様々です。

参照:厚生労働省「平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000149503.pdf

先進医療の費用負担について

先進医療は健康保険の適用対象になる?

通常の医療費であれば、健康保険が適用されて、3割ほどの負担になることが多いもの。ですが、先進医療は健康保険の適用対象外です。そのため、先進医療を受けようと思うと、医療費は全額自己負担になってしまいます。

高額療養費制度の適用について

高額な医療費に対しては、国が定めた医療費の上限を超えた分を負担する、「高額療養費制度」があります。高額療養費制度は、保険診療であれば治療費や治療薬費用に対して利用することができますが、先進医療にかかった費用は、高額療養費制度の対象にもなりません。つまり、全額自己負担で補助金も受け取ることができず、先進医療を受けた際に、国から受けられる補助的なものといえば、税金の医療費控除のみです。

先進医療と保険診療は併用可能

先進医療の治療に関わる診察料や検査費用、入院費用などは健康保険の対象となります。全額自己負担となるのは、純粋に、先進医療にかかる費用のみです。そのため、医療費の計算は次のようになります。

【医療費総額100万円、先進医療費20万円だった場合の例】

  • ・医療費総額:100万円
  • ・先進医療費:20万円
  • ・保険適用分:80万円
  • ・健康保険からの給付:56万円(3割負担の場合)
  • ・保険適用分の負担額:24万円

20万円(先進医療費)+24万円(保険適用の負担額)=44万円

このような計算で、患者が実際に負担する金額の総額は44万円となります。通常、健康保険の対象外診療と保険診療は併用することができませんが、先進医療については、特別に併用が認められています。ですが、先進医療による診療を受けた場合、それでも医療費が高額になることは免れないでしょう。

保険診療分の高額療養費制度適用

先進医療にかかった費用は、高額療養費制度の対象にならないとお話ししました。ですが、上でご紹介したように、先進医療と併用される保険診療は、高額療養費制度の対象となります。そのため、上の事例で例えると、24万円分を申告することができます。高額療養費制度による補助は、年齢や所得によって変動しますが、保険診療にかかった分が上限額を越えていた場合、実際に負担する金額は上の例よりももっと低くなるでしょう。

先進医療の受け方

保険診療の流れとどう違うのか?

先進医療の受け方は、基本的には通常の診療と同様です。ですが、先進医療だからこそ必要になる部分もあるので、実際に診療を受ける可能性も考えて、先進医療を受けるときの流れについて知っておきましょう。

診療

診療の流れは保険診療のときと同様です。先進医療による治療以外の診察や検査は、健康保険適用対象となるので、窓口で被保険者証を提出して診察を受けてください。先進医療は、「保険診療を受ける中でのひとつの選択肢」と考えられているので、優先順位としては保険診療の方が先となります。

医師による先進医療の説明

先進医療は、治療内容や治療費などが特殊なため、医師による説明に納得しないと、選択することができません。この説明に対して患者が納得して、医師が先進医療が必要だとした場合に選択される方法です。つまり、患者が希望しない場合や、医師が必要だと判断しない場合には、行われない治療法です。

納得の上で同意書に署名をする

先進医療についての説明を受けて、治療内容、治療費ともに納得できた場合、同意書に署名をしてから治療を受けることになります。厚生労働省によって、今後、保険診療に移行するかどうかの評価をされている診療内容なので、通常の診療よりも流れが厳密になっています。

領収書の発行

領収書には、保険診療、先進医療の費用、食事などの負担額が、それぞれ印刷されています。確定申告で医療費控除を受ける際には、この領収書が必要になりますので、それまで大切に保管しておきましょう。医療費控除を受けられる金額は次のようになり、最高200万円までです。

支払った医療費の合計-保険金で補填される金額-100,000円

先進医療の内容とかかる費用

心疾患のカテーテル手術から感染症診断まで、費用も様々

先進医療とひとことで言っても、一体どのような内容の診療が含まれているのでしょうか。先進医療の具体的な内容と、先進医療を行う際に、1件にかかった平均費用をまとめてみました。

先進医療技術 平均費用
経カテーテル大動脈弁植込み術 4,772,000円
重粒子線治療 3,093,057円
陽子線治療 2,760,022円
樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法 1,291,191円
ペメトレキセド静脈内投与およびシスプラチン静脈内投与の併用療法 1,175,579円
LDLアフェレシス療法 656,979円
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 554,707円
自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法 338,426円
三次元形状解析による体表の形態的診断 18,489円
EBウイルス感染症迅速診断(リアルタイムPCR法) 15,761円
定量的CTを用いた有限要素法による骨強度予測評価 14,331円
前眼部三次元画像解析 3,662円

参照:厚生労働省「平成28年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000149503.pdf

先進医療の内容を見てみると、カテーテルによる大動脈弁の手術から、ワクチン療法などの治療、ウイルス感染症の診断、画像解析など、実に幅広い内容となっていることがわかります。また、かかる費用も幅広く、かなり高額になる治療もあれば、前眼部三次元画像解析のように、保険診療による医療費程度のものも存在します。

平成29年11月1日時点で、先進医療として指定されているものは、104種類にも上ります。そして、その中で必要な費用が100万円を超えるものは多くなく、10万円以内で受けられる先進医療も豊富に揃っています。これだけ種類が多く、現実的な費用で受けられるものも多いのですから、先進医療を受ける機会は十分に考えられるでしょう。

医療保険に先進医療は必要?

先進医療が基本プランに含まれている場合も

これから受ける機会が訪れるかもしれない先進医療。医療保険を選ぶときに、先進医療は必要なのでしょうか。医療保険にはオプション補償というものもあり、補償の内容をより充実させることができるようになっています。その中に先進医療補償がついている場合がありますが、実は、基本プランに先進医療補償がついている医療保険も存在します。

先進医療を含む医療保険について

オプション補償として先進医療を付加すると、当然毎月の保険料は高くなってしまいます。ですが、基本プランの中に含まれているのであれば、保険料が上乗せされることもなく安心です。しかも、先進医療が含まれている医療保険であっても、他の医療保険と保険料はそれほど変わりません。

ただし、先進医療費用保険金の上限額だけは確認しておく必要があります。例えば、上限100万円の補償がついていたとしても、高額な種類の先進医療を受けた場合に十分な金額になりません。

先進医療の補償は安心感につながる

医療保険に加入してから、先進医療を受ける機会があるかどうかはわかりません。ですが、先進医療を受けている患者数は、平成25年から毎年2万人以上で、増加傾向にあります。先進医療についても補償されていると、治療方法の選択肢も増えて安心につながります。より充実した医療を、少ない負担で受けられることを考えれば、先進医療についても補償されている医療保険を選ぶべきではないでしょうか。

まとめ

先進医療の中には、重粒子線治療、陽子線治療など100万円を超える高額なものもあります。また、先進医療を受けている患者数は増加傾向であることから、もしもの備えをとして検討すべきでしょう。ただ先進医療が基本プランに含まれている場合もあるため、見直しを検討している方は一度内容を確認してみましょう